社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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早稲田大学・北海道大学「グローバルCOEジョイント著作権シンポジウム」@早稲田大学 

2009年2月現在、知財法に関する主なCOEとしては早稲田大学(高林龍先生)と北海道大学と(田村善之先生)のものがある。COEはCenter of Excellenceの略で、文科省の補助金事業である。2008年11月のことだが早稲田大学と北海道大学のCOEが共同で開催した標記のシンポジウムに参加した。高林先生・田村先生をはじめ、信州大学中山一郎先生、クリエイティブ・コモンズの野口先生、立教大学上野先生、上智大学駒田先生など豪華メンバーだった。会場には三村判事、高部判事、大渕先生の姿も見えた(と思う)。

シンポジウムのなかで田村先生の知財制度の存在意義についての発表が本質的で分かりやすいものだったので以下まとめておきたい。

知財制度の存在意義については①自然権説と②インセンティブ論の対立がある。結論としては②インセンティブ論が妥当である。ここまでは知識としてあったがこれについての解説がよかった。

①自然権説の根拠として(a)ロックの労働所有論と(b)ヘーゲルの精神的所有権論を挙げている。(a)ロックの労働所有論は森村進『自由はどこまで可能か』(講談社)で触れられていた。森村氏によれば労働所有論は「自己の身体は自己のものだ」という人身所有権を「自己の労働の成果と対価は自己のものだ」として労働による財産権に具体化したものだという。(b)ヘーゲルの精神的所有権論は「人格を外界に発展させていくうえで所有は不可欠とする理論」とのことだ。自分はこの理論については初めて聞いた。知っているのはヘーゲルは人格権やロマン主義と深くかかわっているということくらいだ。

田村先生は①自然権説を知財制度の存在意義とすることに否定的だ。(a)に対しては知的財産権は他者の身体活動の自由を制約するため自然権とはいえない。(b)に対しては知的財産権は自己の人格の発展に不可欠とはいえず、むしろ他人の人格の発展と抵触する、という。

一方の②インセンティブ論には功利主義が背景にある。インセンティブ論は「知財制度がなければフリーライドが横行し創造に対するインセンティブが低下し社会全体の効用が低下する」とする理論である。田村先生はこのインセンティブ論を知財制度の一応の正当化根拠とする。しかしインセンティブ論にも以下の問題があるという。まず知財制度による効用の増大が実証できないことである。したがって、知財制度の正当化は知財制度の効果は不明だが民主的プロセスにしたがって成立しているという政治的な点に帰着するという。そこで田村先生は知財制度の政策形成プロセスに着目する「知財法政策学」を提唱している。
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[ 2009/02/07 23:55 ] 知財 | TB(0) | CM(0)
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