社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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IBMによるSun Microsystems買収と知財戦略 

IBMがSun Microsystemsを買収する交渉を進めているという(3月19日付ITMedia記事参照)。今回はこの買収について知財的に考えたい。

しかし、まずサン・マイクロシステムズについて。Sunに対し筆者は好感を持っている。筆者のSunに対するイメージは(既に過去のものだが)「毒舌経営者スコット・マクニーリと天才コンピュータ技術者ビル・ジョイの会社」というものである。マクニーリの毒舌について、例えば2002年の日経BPの記事にこうある。

米サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長(写真)は3月7日,来日記者会見の場で競合他社を痛烈に批判した。中でも米IBMと米マイクロソフトに対する批判は手厳しかった。ともに「人類対IBMグローバル・サービス」,「人類対 .NET」との主張を繰り返した。

IBMに対しては,「IBM製品のファミリー・ツリーを見ると,自分たちのものだけでサービスを展開しようとしている。彼らの営業担当者は問題を解決するか,顧客の財布にカネがなくなるまで吸い尽くす」と批判。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20020307/2/


今回の買収相手IBMが<人類の敵>にされていて楽しい。ただマクニーリ自身は「いい人」そうであった。というのも以前マクニーリの講演をどこかで実際に聞いたことがあるが、フランクでユーモアがあり魅力的なものであった。

一方、ビル・ジョイは「BSD」という現在でも広く使われているUNIXを開発した人物である。Javaの開発にも大きな影響を与えているという(wikipedia参照)。UNIXはLinuxの源流であり、ビル・ジョイによるUNIXに対する貢献が現在のコンピュータに与えた影響は大きいのではないだろうか。

またSunには「The Network is the Computer」というモットーがあり、1980年代前半にこのような概念を提唱していた先進性には驚かされる。

さて今回のIBMによるSunの買収であるが、IBMの狙いは何だろうか。筆者にはSunのOSS(Open Source Software)言い換えるとオープン系の知的財産を手に入れるという点があると思われる。SunのOSSとは主にはプログラミング言語のJavaである。他にはデータベースマネージメントシステムの「MySQL」やオフィススイートの「OpenOffice」である。

SunはJavaについては経営的にうまく取り扱えなかったという印象を筆者はもっている。最初SunはJavaで顧客を囲い込もうとしたが無理だと分かり、結局はオープン化した。そして現在、Javaの技術自体は非常に普及したが、収益面では成功とまでは言えなかったようだ。

そこでIBMの登場である。IBMは以前はプロプライエタリだけであったが、現在ではオープン化により収益を上げるという手法を学んだ。例えばIBMは2004年に自身が保有していたJavaの統合開発環境「Eclipse」をオープン化した。2005年にIBMのテクノロジー&ストラテジー部門バイスプレジデントWladawsky-Berger氏は次のように言っている。

むかし--たとえば10年前なら、企業は自社で開発したものはすべてプロプライエタリでなくてはいけないと考え、さらに知的財産(Intellectual Property:IP)はどんな場合にも保護しなくてはならないと考えていた。だが現在では、外部コミュニティのエネルギーを活用したいと思う場合、知的財産に対するプロプライエタリなアプローチと、よりオープンで協力的なアプローチとのバランスをうまく取らなければならなくなっている
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20082472,00.htm


IBMは自身がもつオープンな技術を収益化するというノウハウをSunの知的財産、特にJavaに適用しようとしているのではないか。これが筆者が考える知財的に見たこの買収の狙いである。

同様なことを専門家も指摘している。IT専門の調査会社ITRの内山悟社長という方だ。

IBMはJavaの開発コミュニティーなどSunが持つ無形の価値を評価したのではないでしょうか。Sunは一時期サーバが売れなくなって、Javaをオープン化することで復活したという面があります。でも収益面でJavaがどれだけ貢献したのかは未知数。オープンソースコミュニティーを新たなビジネスとかお金にかえる力はSunにはありませんでした。

IBMもアプリケーションサーバ用の開発環境としてEclipseを開発していますが、オープンソースでベンダーが収益を上げるのはこれまで難しかった。オープンソースは無視できない存在になっています。ライセンスはフリーでも、特定のベンダーがサポートすることで儲けるといった収益構造のモデルを1つつくるべきかもしれません。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0903/19/news054.html


一方、Javaその他SunのOSSはIBMには魅力的ではないという指摘もある(3月19日付コンピュータワールドの記事参照)。

買収するメリットの1つは、IBMがパートナーとして投資してきたJavaにあるのだろうか。JavaはIBMにとって魅力的な技術に思われるが、うわさされている65億ドルという買収金額ほどの価値ではないと見る向きもある。実際に、Javaフランチャイズは頭打ちの状態であり、その価値を大きく落としている。
http://www.computerworld.jp/news/trd/138969.html


現時点では買収自体が確実ではなくIBMの狙いは憶測に過ぎない。ただIBMがSunを買収し、Javaを使って何らかの新たなオープン化戦略を取るのであれば、それは知財的に大変楽しみである。
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[ 2009/03/20 22:46 ] 知財 | TB(0) | CM(0)
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