社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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休眠特許が多い要因は侵害立証性のない特許が多いこと 

2009/3/9のエントリに続き今回も侵害立証性(侵害立証容易性)について述べたい。今回は休眠特許(未実施特許)との関連である。

「休眠特許が多い」という問題はよく指摘されている。東京工業大学の田中義敏准教授は特許庁の調査で70%(100万件中70万件)が休眠特許だという。特許庁がどうやって統計を取るのか疑問はあるが、休眠特許が多いという一般的な認識はあると思われる。

休眠特許が多い要因として権利化の段階において、特許性に比して侵害立証性に対する配慮が少ないという点を指摘したい。侵害立証性がない特許は第三者に活用できないため自社で実施しない限り休眠特許となるためだ。権利化段階における侵害立証性への配慮とは、「もしこのクレームで登録になったとして、第三者が実施した場合に侵害立証はどのように行えるか?」と問うことだ。

これは田中氏の「権利化における新規性・進歩性はいかにあるべきか、といったテクニックに知財部門の問題意識が偏っている」という指摘を裏からみたものともいえるだろう。また田中氏が休眠特許の多い要因として指摘する「知財部門にとって権利化が至上命題になっている」こともあるだろう。

なお自社で実施する発明についても同様に侵害立証性に配慮すべきだ。具体的には「第三者がこのクレームの特許を持っていたら、第三者は自社の侵害を立証できるか?」を問うべきだ。2009/2/13のエントリでのべたように侵害立証性がない発明であれば特許出願はせず営業秘密として管理すべきである。
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[ 2009/03/13 23:17 ] 知的生産 | TB(0) | CM(2)
私の勤めている会社はいわゆるBtoB企業です。なので、お客様から特許を提示されて「おたくの会社はこの特許侵害していない?大丈夫?」と、聞かれることがあります(自社でそういった危ない特許に気付く前に、お客様に気付かれているということも問題ですが…)。

ここで「侵害してますけど、侵害立証は無理ですよ。だから大丈夫です。」とはなかなか言えない(モラルの問題ですが…)。

ですので、BtoB企業においては、侵害立証が難しい出願であっても実際競合企業に何らかのプレッシャーを与えている場合があったりするのではないかと思います。

とはいうものの、出願時に侵害立証性の視点もあったほうが良いに越したことは無いと思います。侵害立証性の感度を上げるには訴訟関係の実務経験や知識も必要になってくるのではないかと思ったりします。

そういった意味では、知財の仕事はあまり横割りをして出願ばっかりやるよりも出願から訴訟まで一つの案件をじっくりやる方が良いような気がします。
[ 2009/03/18 12:30 ] [ 編集 ]
UEMUさん

BtoB企業についての貴重なご意見ありがとうございます。

「モラルの問題」はあると思います。実際に侵害立証できないような特許について他社から許諾を求められることがあります。

また「お客さんからの指摘」という点はBtoBならではないかと思います。Cのお客さんは「危ない特許を指摘」ということはしないでしょうからね。

この2点があいまって侵害立証のない特許でも競合他社へのプレッシャーになるとのご指摘その通りかと思います。「他社へのけん制」効果というやつですかね。

また出願業務と訴訟・ライセンス業務の経験に相乗効果があるというご指摘もその通りかと思います。一方の業務経験が他方の業務に役に立つ関係にあると思います。ですので出願から訴訟まで一貫して一担当者が担当するメリットは大きいと思います。

ただデメリットも挙げられます。出願に比べ訴訟は突発的で、仕事量の調整が難しいことです。ある時期訴訟業務が急増して出願業務に影響を与えるおそれがあると思います。

以上、的外れかもしれませんが私からのコメントです。今後とも今回のような貴重なご意見をいただければ幸いです。
[ 2009/03/19 08:21 ] [ 編集 ]
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