社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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VizioがRAND条件をめぐってFCCに嘆願書を提出 

2009/2/17のエントリでふれたようにRANDとは「Reasonable and Non Discriminatory」の略で「合理的かつ非差別的な」という意味である。しかし何が合理的なのかハッキリしない。2009/3/5のエントリで紹介したNTT渡部比呂志氏も「RAND条件によるライセンスを表明した企業は,自らが『合理的』と信じるロイヤリティを設定しますが,どの程度までが合理的なのか不明」という。この「RAND条件とは何か?」という問題についてFCC(Federal Communication Committee)に判断を求めるという珍しい事件が起きた(日経BPの3月1日付記事参照)。FCCに解決を求めたのは米国のTVベンダーVizioであり、相手方は船井電機である。今回はこの事件の簡単な経緯を紹介し、問題点を考えたい。

船井は2007年9月フランスのThomsonから特許を購入した。同年10月船井はVizioらを特許侵害でITCに提訴した(船井のプレスリリース参照)。船井の提訴特許はFCCの定めたデジタルテレビ技術標準「ATSC」の必須特許であった。VizioによるとFCCは「ATSCに関するすべての特許保有者はRAND条件でライセンスしなければならない」と義務付けていた。よって船井はRAND条件でVizioにライセンスしなければならない。そこでVizioは船井の提示したライセンス条件がRANDではない、と主張しFCCにライセンス条件の変更命令を求め嘆願書を提出した。

しかしVizioは2009年2月ITCで敗訴している(船井のプレスリリース参照)。ITCでの敗訴は差止めを意味する。Vizioのいうように「FCCがすべての特許保有者にRAND条件でのライセンスを義務付けている」のなら、なぜITCは船井に差止めを認めたのか疑問である。

ATSCのパテントポリシーには確かに必須特許は「RAND条件でライセンス」とある。しかし船井はATSCのメンバーのリストには見当たらないので、アウトサイダーなのではないか。よって上述の「FCCがアウトサイダーを含めすべての特許保有者にRANDを義務付けているのか」という点が問題となる。

またこの事件を複雑にしているのは船井はアウトサイダーであってもThomsonはATSCのメンバーであることだ。ATSCの標準化は2004年で特許の譲渡が2007年である。この点も問題となるだろう。
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[ 2009/03/06 23:14 ] 知財 | TB(0) | CM(0)
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