社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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パテントプールによる累積ロイヤルティの低減 

2009/3/3のエントリでOINのCEOとして紹介したJerry Rosenthal氏は既にOINを辞し、次の仕事に移っているようだ。それはソニーらが立ち上げる光ディスクのパテントプールの管理会社CEOである。

このパテントプールはCD、DVD、BDをまとめてライセンスするという(ソニーのプレスリリース参照)。

これはパテントプールの「ロイヤリティの総額(累積ロイヤリティ)を抑える」機能の例証といえる。「累積ロイヤリティ(Royalty Stacking)」の問題とは標準化技術に関する必須特許を所有する特許権者が複数いた場合、各特許権者に支払うロイヤリティは小額でもそれが蓄積し総額としてはロイヤリティが多額になってしまう問題をいう。例えばある標準化技術の必須特許に売上げの1%をロイヤリティとして支払う場合、50件の必須特許があれば50%、100件あれば100%となってしまう。この「累積ロイヤリティ」は「特許の藪」(一つの技術に多数の特許が成立する状況)において問題となることが分かるだろう。典型的にはエレクトロニクス産業である。ソニーのプレスリリースによれば今回のパテントプールでライセンスを受けるとCD、DVD、BDを個々にライセンスを受ける場合よりも40%「累積ロイヤリティ」が安いという。

このようにパテントプールが「累積ロイヤリティ」を抑える機能を果たすのは、パテントプールのメンバーが予め合理的なライセンス料率を定め、徴収したロイヤリティをパテントプールのメンバーで分配するためである。ロイヤリティの分配についてNTTの渡部比呂志氏の論文に具体例がある。

この論文には今考えている「累積ロイヤリティ」の低減以外にも「取引コスト」の低減、高い侵害立証性、高い回避不可能性といったパテントプールの機能・効果がまとまっている。また「必須特許数を水増しするために発明のカテゴリごとに別出願するとよい」といった実務のノウハウも紹介されている。

この「累積ロイヤリティ」の低減機能もアウトサイダーが存在する場合や、一つの標準化技術に複数のパテントプールが存在する場合は十分に発揮されない。DVDの場合、3Cと6Cという2つのパテントプールが存在し、DVD製品を実施する場合、少なくともこの2つのパテントプールからライセンスを受ける必要がある。よって本パテントプールにおいても(常に問題となることだが)必須特許の特許権者をどれだけ多く参加させられるかが問題となる。
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[ 2009/03/05 22:44 ] 知財 | TB(0) | CM(0)
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