社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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著作権の集中管理による取引コストの低減 

2009/2/27のエントリで述べた私的録音録画補償金制度と同様に、著作権の集中管理に関しても活発な議論があり情報も豊富である。そして先日、公正取引委員会がJASRACに対して私的独占に基づく排除措置命令を出したことも大きく取り上げられている。例えばこの記事

そこで今回も「取引コスト」低減という視点に限って述べたい。ただ自分が書きたいことがそのままネット上に見つかったので、まずそれを引用する。元公正取引委員の本間忠良先生が日本大学教授であったときの論文である。

[・・・]著作権等の集中管理によって1つの窓口で多数の著作物の利用許諾が行われるようになれば、権利者および利用者の双方にとって取引の低減につながり、著作物の円滑な利用に資することとなる。
従来、著作権等の集中管理は、コンテンツの取引コストを軽減できる点で社会的に望ましく、仲介業務法は小説、脚本、楽曲をともなう場合における歌詞、楽曲の分野について管理業を各1団体に限定していた。2001年の著作権管理事業法制定により、従来の管理事業に複数の事業者が参入するための制度的基盤が整った。これにより、著作物の利用者の利益を増進させることが期待されている。もっとも、従来からの4団体による権利者と利用者のロックイン状態が未だ解消していないため、独禁法による監視や場合によっては積極的関与が必要となる。例えば、[・・・]権利者との包括または排他的契約による新規参入阻害[・・・]の問題点が指摘されている。従来、個別ライセンスは手間がかかり不可能とされていたが、現在ではコンピューターによって取引コストが激減し、この可能性が復活しつつある。権利者への配分についても、現行のサンプリング方式から個別計算方式への動きがある。
http://www.meiji.ac.jp/laws/chair/jasrac_20.htm


JASRACや日本複写権センターのような著作権の集中管理事業者の存在は「取引コスト」の低減という効果がある。これは2009/2/20のエントリで述べたように特許におけるパテントプールと同様の効果である。一方、これらの集中管理事業者は著作権管理事業法制定によって他事業者の参入が可能になった後も、独占的な地位にある。

なぜ独占的な地位にあるのか。今回公取委はJASRACについて「包括徴収」がその要因ととらえ、「包括徴収」が「実質的に競争を制限している」と判断した(排除措置命令書参照)。「包括徴収」とは管理楽曲の使用料を管理楽曲の利用回数に基づき算定しない徴収方法である。これは「包括ライセンス」ともいえる。この方法により放送事業者がJASRACに加え他の管理事業者の管理楽曲を利用する場合、JASRACへ支払う使用料は不変であるため、他の管理事業者への使用料分だけ使用料総額が上乗せされることになる。これにより放送事業者がJASRACにロックインされる。

「包括徴収」のような"どんぶり勘定"は「取引コスト」を下げる効果があり、従来それなりの意義があったと考えられる。しかし現在は情報技術の発展により「取引コスト」は低下している。したがって「包括徴収」が低減する「取引コスト」よりも情報技術が低減する「取引コスト」が大きいのであれば、情報技術を用いた「個別徴収」へと移行するべきであると考える。

youtubeやニコ動においては「個別徴収」(楽曲の利用について報告し利用した分だけ使用量を支払う契約)になっているのだから、TV局やラジオ局でも同様に「個別徴収」にして楽曲の利用を報告しても特段「取引コスト」が増加するわけではないだろう。例えば東京FMは既に放送した楽曲を検索できるシステムになっているようだ。
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[ 2009/02/28 23:50 ] 知的生産 | TB(0) | CM(0)
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