社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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Googleと集団訴訟(クラスアクション)とベルヌ条約 

2009/2/15のエントリ2009/2/20のエントリで知的財産権の「対価請求権化」や「取引コスト」の削減についてふれてきた。今日はGoogleがこれらをすごいスケールで達成しそうだという点について書きたい。達成の方法はこの記事に紹介されている和解である。

米国の著作権者らがGoogle Book Searchが著作権侵害であると集団代表訴訟(クラスアクション)を提起していた。その和解が2008年10月に成立した。その和解内容は和解からの除外を今年5月5日までに申請しない限り、和解に拘束され、Googleが書籍をスキャンしデータを販売することに同意することになるというものだ。ただし2011年までに著作物の削除申請は可能である。著作権者はGoogleのこの事業収入の63%を受け取る。

これだけでもスケールの大きい話だが、さらにこの和解に拘束されるのは米国の著作権者らだけではなくベルヌ条約に加盟している国(wikipediaによれば163カ国)の全著作権者である。

その理由は以下のようなものである。まず、この訴訟が集団代表訴訟(クラスアクション)であり米国での全著作権者が当事者になっている。集団代表訴訟とは松山大学田村譲教授の解説では以下のようなものである。クラスアクションの目的が「取引コスト」の低減にあることがわかる。

集合代表訴訟とは、共通の損害を受けた被害者を代表して起こす米国特有の訴訟形態で、少額多数被害者の救済と個々の訴訟による膨大な費用の節約にその目的がある[・・・]。同じ性質を持つ複数の私的請求を集合して1回の裁判で一挙に解決していこうとする制度で、裁判の結果が勝訴であろうと敗訴であろうと、裁判の結果(効果)が全ての当事者が及ぶと。[・・・]
特に欠陥商品や公害などにより多数の消費者が損害を被ったとして、企業を相手方として損害賠償請求をする場合、消費者1人ずつの被った損害が小さければ、個別に訴訟をすることは、手数・費用の点で引き合わず、躊躇(ちゅうちょ)するようになる弊害が、この制度で是正されることになる。
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/yougosaibann.htm

そしてベルヌ条約の一の加盟国の著作者は他の加盟国で著作権を取得する。ベルヌ条約5条1項などにより内国民待遇が定められているためである。よってベルヌ条約全加盟国の全著作権者は米国での著作権者でもある。日本も当然加盟国である。

ただし和解の対象は米国著作権であり、日本人が国内で有する著作権は対象ではないと思われる。Googleが米国に所有するサーバ上でスキャンした書籍のデータを米国のユーザに提供するということだろう。

このGoogleの和解はクラスアクションという「取引コスト」の低減と、ベルヌ条約により世界163カ国の著作権を一気に捕捉するという戦略を組み合わせて「対価請求権化」と「取引コスト」の低減を大スケールで達成しようというものといえる。

なおこの和解の詳細については先の記事にも登場する福井健策弁護士のブログがとても参考になる。
Googleのサイトに著作権者への通知書がアップされており、和解についての詳細な情報がある。
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[ 2009/02/25 23:36 ] 知財 | TB(0) | CM(1)
既にお気づきかもしれませんが、たいへんユニークで示唆に富む内容を拝見し、特許業界・知的財産業界情報トップスにリンクを追加させていただきました。なお、特許業界・知的財産業界情報トップスを今後リンク集などに加えていただくようなことがございましたら幸いでございます。今後もよろしくお願い申し上げます。
[ 2009/02/26 00:12 ] [ 編集 ]
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