社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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私的録音録画補償金制度による取引コストの低減 

2009/2/26のエントリにおいて著作権法の裁定による「取引コスト」の低減についてふれた。現在、活発に議論されている私的録音録画補償金制度についても同様の効果がある。この制度自体については活発に議論されており情報も豊富にある。よって、ここでは「取引コスト」低減という効果に限って述べたい。ただし「私的利用が著作権者の利益を害しているので補償金制度が必要だ」というこの制度の存在意義については、今まで何度かふれたインセンティブ論の視点から疑問があるので、これについてもふれる。

著作物はデジタルデータとして流通するため、流通経路が複雑になる。よって著作権者が私的利用を超えた録音・録画について侵害行為を捕捉することは困難である。そこで、このような侵害行為を捕捉し利用者(侵害者)から利用料を徴収する「取引コスト」は大きい。補償金制度では、このような個別の徴収をせずにデジタル機器(「デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器」(著作権法30条2項))に広く薄く利用料をかけ補償金を徴収する。これにより「取引コスト」を削減できる。

しかし、このような効果があるとしても、そもそも補償金制度の存在意義には疑問がある。知財制度の存在意義を2009/2/7のエントリでふれたように、インセンティブ論によって説明するのであれば、2009/2/12のエントリで述べたように、創作のインセンティブが機能している限り法の支援は不要である。補償金制度が私的利用による損害で減殺された(と主張する)クリエータの創作へのインセンティブをどれだけ回復させているのか疑問がある。そもそも2009/2/8のエントリ「Patent Failure」でふれたように「知財制度が効用(文化の発展)の増大に寄与しているか?」という根本問題に対して実証的な回答はされていない。

なお、私的録音録画補償金制度の仕組みについては日経のこの記事が参考になる。
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[ 2009/02/27 23:33 ] 知的生産 | TB(0) | CM(0)
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