社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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著作権法の裁定制度による取引コストの低減 

2009/2/24のエントリで特許法における裁定について「対価請求権化」という視点から述べた。今ちょうど著作権法における裁定の利用を促進する法改正が進められているという。例えばこの記事この記事

改正の趣旨は「テレビ番組のネット配信にともなう権利処理を簡易化する」ことだという。今回はこの改正について「取引コスト」低減や「アンチコモンズの悲劇」という視点から述べたい。

権利処理とは要は利用許諾を受けることである。この権利処理の複雑さという問題は何年も前から議論されてきた。2009/2/20のエントリにおいて「特許の藪」についてふれたが、著作権の世界にも「著作権の藪」があるといえる。例えば一橋大学長岡貞男教授による経済産業研究所のペーパー。「著作権の藪」としては特にテレビ番組がよく問題になる。一つの番組に多数の権利が成立するためだ。よってテレビ番組のネット配信など二次利用には利用許諾を受けるための「取引コスト」が高くつき、著作物の過少利用という「アンチコモンズの悲劇」を招く。

今回の改正でこの「アンチコモンズの悲劇」をどう解決しようとしているのか。

第一に裁定請求の要件の明確化である。現行著作権法の裁定制度では「著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができないとき」裁定請求ができるとされている(著作権法67条1項)。ここで連絡のつかない著作権者を探して交渉して利用許諾を受けることは大変な「取引コスト」である。改正ではこの「相当な努力」を政令で明確化するという。例えばテレビ局が俳優の所属団体に連絡先を問い合わせるなどである。これにより「取引コスト」の低減が図れる。

第二に裁定制度の対象の拡大である。現行制度では対象は著作権のみである。改正では対象を著作隣接権に広げるという。著作隣接権者とは例えばテレビ番組に出演したタレント(実演家)や、テレビ番組のBGMの元となるレコードを作製したレコード会社などである。「著作権の藪」のなかでも特に著作隣接権者が問題になるという。著作権者である音楽家や脚本家については集中管理システムによる「取引コスト」の低減が既に実現されているからだろう。この改正は第一の「取引コスト」低減の実効性を高めるものといえる。

なおテレビ番組のネット配信における著作権と著作隣接権については朝日新聞のこの記事が参考になる。
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[ 2009/02/26 23:11 ] 知的生産 | TB(0) | CM(0)
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