社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

パテントプールによる取引コストの低減 

2009/2/19のエントリではパテントプールの主な機能として「差止請求権から対価請求権への変換」を挙げた。一般的に言われる他の機能として「取引コストの低減」がある。例えばこちらの論文こちらの論文

「取引コスト」は経済学の概念であって、wikipediaによれば「経済取引を行うときに発生するコストである。例えば、株の売買をする時に大抵の人はブローカーに仲介手数料を払わなければならない。この仲介手数料が株取引の取引コストである。」とされている。今考えている標準化と特許の問題において「取引コスト」は「標準化技術を実施するために必須な特許を保有する特許権者とライセンス交渉を行ない実施許諾を受けるために発生するコスト」である。パテントプールが必須特許を包括ライセンスすることができれば、ワンストップショッピングが実現し「取引コスト」が低減される。ただしパテントプールを運営するにはやはり「取引コスト」がかかるだろう。

この「取引コスト」は一つの技術に多数の特許が成立する状況において増大する。このような状況は「特許の藪(patent thicket)」と呼ばれる。

そして「特許の藪」が原因となり技術自体が利用されず廃れてしまうことを「アンチコモンズの悲劇」と呼ぶ。これは「コモンズの悲劇」という「共有資源の過剰利用」を指す概念に対して、「共有資源の過少利用」を指す概念としてつくられたのだろう。「特許の藪」と「アンチコモンズの悲劇」については『知財研紀要2006』の一橋大学 長岡貞夫教授の論文(の紹介)が参考になる。

「特許の藪」が存在する場合には、利用可能な技術を企業が効率的に利用することが妨げられることが懸念される。権利を保有している企業の数が多数あるために、効率的な交渉が困難で、その結果、特許化された技術の利用が妨げられる現象は「アンチコモンズの悲劇」と呼ばれている。(p.32)

なおこの論文では「特許の藪」が問題となる産業(例えばエレクトロニクス産業)において、「特許の藪」が収益性の低下などをもたらすという有意な証拠はみられないという結論に至っている。

ただし今回も標準化に参加していないアウトサイダーは例外である。標準化メンバーはアウトサイダーについては個々にライセンス交渉を行ない実施許諾を受けなければならない。
スポンサーサイト
[ 2009/02/20 20:53 ] 知財 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。