社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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知的財産権は所有権であるべきか 

特許法の抜本改正として話題になった特許制度研究会の第1回議事録が公開されている。

研究会としてのまとまった方向性が見えないが差止請求権を弱めるという話は今後も議論になりそうだ。この議論は実務的には主にはパテントトロールの問題だろう。理論的には「知的財産権は所有権であるべきか?」という知財の世界の根本的な問題だ。

まず実務的な問題として考えると、日本での差止めを武器にしたパテントトロール活動は米国に比べ活発でないため、この点から差止請求権を弱める必要性は今のところないだろう。2009/2/11のエントリでもふれたように特許権者が訴訟を避ける傾向にあるくらいである。

ただ、見逃せないのが非パテントトロール同士のライセンス交渉でも交渉を締結するインセンティブとしての差止請求権の意義だ。侵害していても差止めのおそれがなければ契約を締結しライセンス料を支払うインセンティブが低下する。いわゆる「侵害し得」である。もしパテントトロールに限らず差止請求権を弱体化させるなら、損害賠償額の増額(例えば三倍賠償)とセットにする必要があるのではないか。

次に理論的にはこの問題は特許法よりも著作権法で議論されることが多いようだ。中山信弘『著作権法』(有斐閣)からの引用が池田信夫blogにある。

現行著作権法は物権法から多くの概念を借用しており、物権的構成を採用してはいるが、それはあくまでも便宜上のものであるということを忘れてはならない。立法論的には物権的構成が唯一のものではなく、対価請求権的な構成も可能である(p.205)


著作権法の場合、法目的が「文化の発展」であること、財産権(狭義の著作権)と人格権(著作者人格権)の要素を併せもつことから議論はより複雑になる。『著作権法』でもこれらの点について紙幅を割いている。一方、特許法は「産業の発達」を目的とし、財産権の要素のみ(発明者権というのも一応あるが・・・)をもつため、著作権法より議論は単純になるのではないだろうか。

この「知的財産権は所有権であるべきか?」という問題は、2009/2/7のエントリでふれた「知財制度による効用の増大が本当にあるのか?」という問題と同様、自分などにはとても答えられない問題だが、今後も考えていきたい。そのときには中山先生が指摘するように「所有権法のドグマ」にとらわれないことが前提だろう。
著作権法著作権法
中山 信弘

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[ 2009/02/15 15:09 ] 知的生産 | TB(0) | CM(0)
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