社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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特許制度の存在意義と職務発明 

2009/2/2のエントリでは「概念」と「経験」とは抽象化/具体化により循環するという考え方について書いた。「概念」から「経験」への具体化の例として田村善之先生が日本労働研究雑誌2005年8月号に寄稿している『職務発明の取扱いと特許制度の存在意義』という論文を挙げたい。

この論文で田村先生は、2009/2/7のエントリで紹介した特許制度の存在意義に関する2つの説「自然権説」と「インセンティブ論」を職務発明に適用している。

まず「自然権説」に基づくと、職務発明は「発明者は当然に自己のなした発明について権利を有するのだから、それを使用者に取り上げられるなら対価の支払いを受ける権利を得る」と説明される。しかし、この説明は妥当ではない。理由は自ら発明をした者も第三者に特許を取得されてしまうと(先使用権が成立する場合など例外を除き)自己の発明を実施できないためである。

一方「インセンティブ論」に基づくと、従業員に支払われる対価も従業員が発明に対しインセンティブとして適切かという基準で判断すべきということになる。ここでさらに「限界効用」の「概念」を適用し、資産が増えれば対価を与えることで得られる発明のインセンティブの改善は逓減するという。したがって青色発光ダイオード事件のような数百億円の対価は不要だとしている。

以上が論文の概要である。まさに、このような概念の適用が高根正昭氏のいう「創造」だと考える。

弁理士試験の勉強では「発明の完成と同時に特許を受ける権利は発明者に原始的に帰属する」などと習うが、これは「自然権説」に基づく説明ということになる。このように「特許制度の存在意義」といった抽象的な「概念」は具体的な規定(「経験」)を理解するのに役立つ。

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[ 2009/02/08 10:13 ] 知的生産 | TB(0) | CM(0)
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