社内弁理士のチャレンジクレーム

チャレンジクレームとは「実務家の間に通用する俗語で『だめもと』のチャレンジ精神で審査を受ける限定の少ない広いクレーム」をいいます。社内弁理士が「だめもと」で抽象的な理論と実務の架橋を目指します。

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特許権者によるクレーム解釈の自由度の高さが米国でダブルトラック問題が目立たない要因である 

2009/2/10のエントリで紹介した早稲田大学COEセミナー「日本及び米国における特許の有効性に関する紛争処理手続の将来像」を聴講してきた。講演後の質疑応答で議題になった米国におけるダブルトラック問題という議論が興味深かった。

「特許侵害訴訟後に無効審決が確定した場合、再審事由となるか」という問題は、日本で「海苔異物除去装置事件」などに関連し活発に議論されている。この状況は米国でも同じなのだろうか。なぜなら米国でも訴訟と再審査の両方で特許の有効性を争うというダブルトラックが存在しているためである。

この問題について聴講者の方から質問がなされ、セミナー講師の工藤敏隆弁護士は「米国では訴訟において特許の有効性を争うのが基本であるため、特許訴訟後に無効審決が確定した場合であっても再審事由にはならない」と回答された。ただし、この点が実際に争われた事件は未だないという。

このように米国では訴訟の優位が明確であるため、ダブルトラック問題が生じないのだろうか。この点に関連し聴講者の方が「日本では特許権者による訂正審判・訂正請求の多用がダブルトラック問題の要因となっている。米国では訂正のための再発行などはあまり用いられていない。これが米国でダブルトラック問題が生じない理由ではないか。」という旨の発言をされた。

自分も同感である。米国で訂正があまり用いられない理由には次の点があるように思う。米国では侵害訴訟において特許権者・被疑侵害者ともに自らのクレーム解釈をかなり自由に提出することができる。例えば以前提出したクレーム解釈を公知資料の内容に応じて修正し再提出することである。もちろん最終的なクレーム解釈は裁判官がMarkman Rulingにより決定する。しかし裁判官によるクレーム解釈も当事者の提出したクレーム解釈をまったく無視するようなものになることは少ない。したがって特許権者によるクレーム解釈の提出は訂正審判・訂正請求に類似の効果を有する。

以上述べた特許権者によるクレーム解釈の自由度の高さが米国で訂正があまり用いられない理由であり、訂正があまり用いられないことが米国でダブルトラック問題が目立たない要因であると考える。もちろん特許の有効性判断における訴訟の優位性が明確である点も要因である。ここから日本でも「訴訟における当事者のクレーム解釈の自由度」を確保し、「有効性判断における訴訟の優位性」を明確にすればダブルトラック問題が解消されるということが導かれるが、現実的でないだろうか。

ついでに次回のセミナーを紹介しておく。今年10月1日に施行される中国の新特許法についての解説とのこと。平日の17時半開始というのがちょっと厳しいが。セミナー参加申し込み(無料)は以下のページから。
http://www.21coe-win-cls.org/gcoe/info/reservation.php?sid=10551

2009年3月18日水曜日
国際知的財産セミナー 「中国新特許法の注目点と留意点」

【時間】17:30~19:30 (懇親会:20:00~)
【場所】早稲田大学小野梓記念講堂 (27号館)
【報告者】 袁 杰 (中国全人代常務委員会法制工作委員会経済法室副室長)
郭 禾 (中国人民大学教授・中国法制情報センターセンター長)
劉暁純 (天津大学法学学科学科長・中国大学知的財産法研究会常務理事)
兪風雷 (早稲田大学グローバルCOE研究員)

【内容】
 本年10月1日に施行される中国の新特許法は特許制度を大きく刷新するものであって,特許実務へ与える影響は計り知れない。本セミナーは,経済的な結び付きをますます深めている日本として知っておくべき、中国新特許法の注目点と留意点に焦点を合わせ,中国から最高立法機関の専門家や大学教授らを3名招聘して,中国新特許法の成立が中国知的財産権法の全体像や実務にどのような影響を与えるのか,そのポイントを解説していただく。

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[ 2009/03/02 23:32 ] 知財 | TB(0) | CM(0)


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